口八丁よろず日記

1を訊かれりゃ30しゃべるオタク主婦45歳、書きたい放題にも程がある日記。

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星ゆう輝

Author:星ゆう輝
人生45年、オタク歴30余年、母親業18年。
老眼とボケが迅速に進行中。
一人息子が卒業し、のほほんに磨きがかかってきました。

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里見八犬伝・続き 2006-01-10-Tue

 さて新春ドラマ「里見八犬伝」を全部観たわけだ。

 結論から言うと、DVD出たら買うかもしれない。
 それぐらい気に入った!

 言っておくけど、幼少の頃より「新八犬伝」に脳底までどっぷり束縛されている私がここまで喜ぶってのはよっぽどの事だからね!!!?

 勿論手放しで褒めるわけも無くて、終盤には大いに不満は残る。大合戦以降のシナリオは「さすがにやっぱり無理があったか」と言うしかないものだった。尺も足りないし。
 何倍もの大軍を撃破するために、一騎当千の勇士八人の投入で戦局がどうにかできるか、なんてのを真っ当にやるとしたらそれだけで2時間以上欲しいしね。もういっそ水木しげる式に「壮絶な闘いだったがなんとか勝った」ってことにして置けば良かったのに、ガチ戦描くんだもん。真摯な情熱と生真面目さを持った制作スタッフであったろうことは痛いほど伝わってきたけど、あそこだけはそこが裏目に出た印象だ。

 出演者がまたどれもこれも素晴らしいハマリっぷりと熱演で、脳汁と涎出まくりの数時間。イイ男好きの私にゃ悶絶モノ。一人一人語ってちゃぁキリも無いので、あえてヒロイン(マテw)玉梓について述べてみようと思う。

 本来、里見家だけに怨念を持って悪霊と化した玉梓ではあるが、その悪意は「人間が背負う業」そのものを認識し、責める立ち位置から発せられていた。この視点がとても斬新だったと思う。

 ベッタベタな解釈をするならば、玉梓の言ってる事やってる事は概ね「男社会で虐げられてきた女のルサンチマン」ってことにもなっちまいますがね。

「男はいつもそうだ」「男など、こういうものだ」と彼女が語る、男の部分は「人間」と置き換えちまって良いのである。

 人間が持つ業そのものを糾弾する玉梓を、金腕大輔(前回の日記で見事に字を間違えていた)の謝罪と自害抜きにどう鎮め祓うのかが最大の興味だったが、まぁ見事に拍子抜けな展開となってしまったのはもう一つの残念ではある。


 さて、人としてあるべき道。それを深い形で示すために「人であって人でない存在」が必要である理由とは何か?

 人間の抱える業、あるいは原罪。それを大いなる闇としてみよう。
 それだけになってしまったものはもはや人間ではないモノとして扱われる。玉梓のように怨霊であったり、あるいは怪物、悪魔、であったり。

 そして大いなる闇を打ち砕くには強烈な光が必要になるのだ。

 闇を持たず、業を持たず、人の持つべき魂のみに生きる存在。
 だが、これだってやはりもはや人間ではないモノなのだ。人は光と闇のぐちゃぐちゃになった混沌そのものだからである。どっちを切り捨てても、それはもう人ではありえない、ということなのだ。

 仁義礼智忠信孝悌。これが人のあるべき魂だとしたら、玉梓の責める業、罪、闇、それもまた人間らしさというものに他ならない。

 原作の玉梓は私怨によって祟っていたので、彼女をその手で斬り殺した金腕大輔が詫びて腹を切ることで浄化が可能だった。

 ならば業そのものを背負ったドラマの玉梓を浄化せしめるために必要だったものは何か?
 人であって人でない存在の八犬士たちが、自分たちの生き様を貫いて、周囲にいる多くの人々も感化していった過程も見せて、「だからこそ仁義礼智忠信孝悌を守るのだ!」という主張を明確に叩きつける、という形が最善だったのではなかろうか。

 信乃の構えた村雨丸に、光の八文字が浮き出ていた、というそれだけが僅かに救いであったが、どうにもこのあたりの説得力が欠けていたのが惜しまれる。

 ちなみに原作の八犬士、人と犬との子たる勇士たちの最後というのは、完璧に人と違う存在となって俗世を離れていく、というものであった。羽化登仙、という言葉で語られていたはずである。

 まったき闇が人間にとって害悪であるのと同様に、まったき光も延々と人の世に在り続けるわけにはいかないのである。ある意味、人間にとって闇と同じ破壊力を持つはた迷惑なものにもなるからである。

 ヒーローって引き際も大事だって事でひとつ。

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