口八丁よろず日記

1を訊かれりゃ30しゃべるオタク主婦45歳、書きたい放題にも程がある日記。

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星ゆう輝

Author:星ゆう輝
人生45年、オタク歴30余年、母親業18年。
老眼とボケが迅速に進行中。
一人息子が卒業し、のほほんに磨きがかかってきました。

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黒澤明 「白痴」 2007-09-24-Mon

 明日は息子の18回目の誕生日。明日から和光市で職場実習が始まるため、1日繰り上げて今日祝う。
18歳を区切りに、愛の手帳が児童から成人に切り替わる。普通の人より一足早く成人するようなもの。ケーキに蝋燭を18本立てたら、あまりの数の多さにちょっとクラクラ。
「もう子供じゃないんだから、歳の数だけローソク立てて祝うのも最後だからね!」

 息子のリクエストでローストチキンと生クリームとイチゴのショートケーキ。ローストチキンは初めて作ったけど、とても簡単で美味しく仕上がってよかったよかった。時間だけはかかるけど。

 このごろはどんな料理も、料理名とレシピでググればいっぱいデータが出てくるので、実に助かる。二昔前、パソコン画面が付いていてインターネットにいつでも繋がる冷蔵庫、というのが売り出されて、見事に撃沈していたが、いまこそこのコンセプトが蘇るべきだと思う。コンセントから簡単にネット環境に繋がるようにもなったし、ネットの普及度を考えると、かなり売り上げるのではないだろうか。少なくとも私は欲しい! ウチの冷蔵庫は結婚の時に購入した20年もののNEC製、もういつ壊れるか判らないシロモノなので。




 さて、黒澤明監督の「白痴」をやっと観る。3時間の大作である。とはいえ、あの中身が詰まった原作をたった3時間でどうするのか、と思っていたのだが……「なるほど、こう切ればいいのか!」と感心する大胆な再構成。

 とは言え、実はこの映画、5時間尺で撮影したものらしい。公開時、配給会社の要請で泣く泣く2時間分を切り捨てた、とのこと。なんだよその暴虐は。2時間も消えうせた中にどれだけのエピソードが詰まっていたことかを思うと!

 ともかく度肝を抜かれたのが、ナスターシャならぬ那須妙子を演じた原節子の迫力である。
 撮影時、原節子は31歳。現代のような高度なエステ技術があったわけでなく、正直、かなり容色に衰えが出てしまっている。冒頭の写真館に飾ってある写真をみて、「あっちゃー(゜▽゜;)」と思ってしまったのは確かだった。

 ちなみに原作のナスターシャは、「これほどの美しさがあれば世界中をひっくり返せる」とまで称えられる超美貌。しかしその性格の方は、超絶ヤンデレにしてハイパー喪女。教養は驚くほど深いが、残酷かつ下賤で無慈悲。愚連隊のような取り巻きをゾロゾロと連れ歩き、誰かが野次を飛ばそうものなら、通りすがりの紳士のステッキを奪い取り、小走りで走り寄って、スパコーン! と振り回して顔面にヒットさせ、一撃で路上に打ち倒してしまうという(連れの愚連隊の手など一切借りないところに注目!)、恐るべき美女なのである。善良さの塊のような主人公「白痴」のムイシュキン公爵を虐めて苛めてイジメ抜いてズタボロにしてしまった挙句に他の男と駆け落ちしてしまい、さすがの公爵も「あの女は気ちがいなんです! 気ちがいなんです!」と何度も嘆くことになる、という、とにかく桁違いの存在なのだ。

 舞台を札幌に置き換え、那須妙子としての生を与えられたナスターシャはいかなる者であったろうか?

 ここで、これまた桁違いの、「恐るべき女優」を観る事が出来るわけなのである。

 往年の大女優・原節子。ここなどがいろいろデータが豊富。
 16歳でデビュー、42歳で引退。老いて行く姿を人前に出したくない、という強い意志は今に至るも覆ることなく、完全なる伝説と化して語り継がれる女性である。

 繰り返すが、31歳という年齢はナスターシャを演じるにはいささか遅すぎなのである。
 しかしそれでも、写真ではなく、活動(大昔、映画のことをそう呼んだのだよ)で生き生きと動き出した那須妙子の存在感、演技は壮絶というしかない迫力をもっていた。とにかく目ヂカラが凄い。「ただならぬ女である」という説得力が凄い。黒い布切れ1枚だけを巻きつけて、ただ立っているだけなのに、圧倒的に美しい。大抵の並みの役者というものは、どんなに演技をがんばっているつもりでも、所詮、そこに居るだけなのである。しかし原節子ほどの存在になると、ただストンと立っているだけで、演技なのである。これは「演じて魅せる」という本質についての取り組み方の相違から来るものであり、才能と研鑽無くしては獲得できない神性とも呼ぶべき力である。この神がかりの演技を見るためだけにでも3時間を費やす意味はある。

 また凄かったのが、ロゴージン(赤間伝吉)役の三船敏郎で、これはもう容姿といい表現といい、あのギラギラとした異様な輝きの眼差しといい、隅から隅までカンペキなまでにロゴージンだった。女優に原節子あり、男優に三船敏郎があったあの時代、「『白痴』撮るしか無いだろう! 今!」 と黒澤監督は思ったのではなかろうか、という気がするほどだ。

 嗚呼、だがしかし、那須妙子のステッキスパーン! のシーンは無かったのであった。残念! 無念!

 読むにしても観るにしてもとにかくヘヴィな「白痴」であるが、これもまた、ツンデレを通り越してヤンデレがちょいブームになっている昨今、若い人にも親和性のある内容だと思う。ラノベばっかり読んでないでたまにはこういうのにも触れようぜぃ!

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