1を訊かれりゃ30しゃべるオタク主婦45歳、書きたい放題にも程がある日記。
Author:星ゆう輝
人生45年、オタク歴30余年、母親業18年。
老眼とボケが迅速に進行中。
一人息子が卒業し、のほほんに磨きがかかってきました。
強引に治したはずの風邪が出たり引っ込んだりを繰り返す。
もう以前みたいに「寝ればOK」とか「風呂で発汗で治る」みたいな、自然治癒システムが働かないようだ。
老いた、ってことね(´_ゝ`)マジもうポンコツ。
さらに、とっくに収まったと思っていた花粉症の症状がドカンときちゃって、初めてマスクして外出しましたよ、ムキー。
ところで、秋葉原に「チョムチョム」というビルが出来るそうなんだけど、とっさに「あしたのジョー」を思い出したのは私だけか? あの技、超怖かった気がするw
さらにどうでもイイ話題として「カレセン」ってのにピーン! と来ちゃったってのがあって。
思い出したのが、パール・バック著「大地」という長編小説。
これは中国の貧しい一農夫が、ふとしたことをきっかけに富豪になり、その一族のアレヤコレヤを綴っていくとても面白い話。
主人公のワン・ロンは、最初は貧しい農夫だから、地味で実直な結婚をするわけ。
なんだかんだで富を築くんだけど、この富の元手というのが、嫁の宝物を強引に奪い取ったものだったりするんだな。つまりは一握の宝石だったんだけど、その宝石を巻き上げられるとき、嫁がさ
「真珠を二つだけとっておいてもいいかね。小さなの、二つだけでいいだよ、それ以外は全部持って行くといいだよ」
って懇願して、その願いは通るわけ。
残りの大量の宝石を農地に変えて、どんどん転がして財を増やして、その界隈じゃ一番の大富豪になちゃって、大きなお屋敷に住むようになったワン・ロンがやったことってのが、色街通い。
そこで見初めた美女を、妾として囲っちゃうんだなぁ。
この妾ってのが、まぁ色と欲とワガママしか人生に無いような小娘で、ワン・ロンはさんざんに振り回されちゃうわけだ。
で、この妾のご機嫌を取るために、妻がひっそり身につけて大事にしていた小さな真珠まで、ワン・ロンは取り上げちゃうんだな!
「どうせ仕舞い込んでるだけだろうが。お前のような醜い女にそんな宝は必要ねぇ。綺麗な女を飾るために宝石ってのはあるんだ」
「娘の嫁入りの時に耳飾りにしようと思ってただよ」
「いいから寄こせ、真珠が要るんだ!」
てな感じで、嫁の最後の宝まで巻き上げて去っていく夫の背後で、妻は無言で涙を流しながら、夫の服の洗濯をいつまでも続けるわけで……このシーンは子供心にもとにかく強烈で印象的で、今こうやって思い出して書いていても、あのとき読みながら幻視した情景がそのままありありと蘇る心地であることよ。
なんだかんだで月日は流れ、ワン・ロンも妻も老い、美しかった妾はどんどん醜悪に肥満していき(なにせ喰って遊んでるばかり、しかも当時の中国女性の風習として纏足をされていたから、太った体を足が支えきれなくなり、ますます動けなくなるというデス・デブ・スパイラル)、子供達はそれぞれに成長して大人になっていき、様々な厄介を家に持ち込むことになる。
ある日、妻が病に倒れる。夫にどんな仕打ちを受けても、全てを飲み込み黙って耐え続けていた妻が体の不調を訴えたときには、すでに完全な手遅れ状態だった。
ワン・ロンは慌てふためくが、なすすべもなかった。自分がどれほどこの妻のおかげで多くを手に入れてきたか、それなのに、どれほど自分がこの妻になにもしてやらなかったか、それどころかどれほど酷い目に遭わせてきたか、妻を失おうという最期の時にやっと悟るわけである。
妻が逝った後、息子達が嫁を迎え、孫達が産まれ、屋敷はますますにぎやかになるのだが、一族が拡大すればするほど困ったことも増えてゆく。
すっかり老い疲れたワン・ロンは、ある日、地味ではかなげで清楚な奴隷娘、リ・ホワに目が止まる。
ワン・ロンには白痴の娘が一人いた。その娘をかいがいしく世話してくれるリ・ホワに、思わず知らず、老いらくの恋が発生してしまうのである。
若い娘には若い男がふさわしい、自分のような老人がどうこうできるわけがない、と大変に葛藤するわけなのだが、実はなんと、ワン・ロンの3番目の息子も、そのリ・ホワに恋をしているようではないか!?
思いあまって、息子に取られる前にリ・ホワをモノにしてしまうワン・ロン。
ブチ切れた息子は家を飛び出して、血で血を洗う戦場暮らしに身を投じちゃったりするわけなんだけど、ここでポイントなのが、リ・ホワがそれをあまり惜しんだり、追ったりなんかしなかった、っていう点なんだよね。
実は、無口で控えめでひたすらおとなしくて心優しいリ・ホワにとって、美男で情熱的な若い男の求愛は、迷惑でしかなかったんだよね! 困るばっかりだったわけなんだな!
ワン・ロンの妾になった後、リ・ホワはこう言うのだ。
「私は旦那様が好きです。お優しいからです。若い人は優しくはありません。ただ、激しいだけです」
ワン・ロンとリ・ホワの男女としての関係はすぐに無くなってしまったが、リ・ホワはワン・ロンに仕え続け、最期を看取る。その後はずっとワン・ロンの白痴の娘の世話を続けて、ひたすら地味に老いてゆくのだった。時々独りでワン・ロンの墓に詣で、「旦那様! いいえ、お父様! 私のたった一人のお父様!」とひっそりと泣きながら。
つまりね、「カレセン」って別に今出来ってわけでもないって言いたかったわけ。
それにしても、思い返すほどに「大地」って名作だったなぁ。ちょい調べたら1931年の本なのね。興味のある向きは是非ご一読を。なお、私の記憶にあるのは、実家の本棚にあった超絶古い版なので、今手に入る翻訳とはあちこち変わっているはず。名前の表記とかね。なにより、ワン・ロンの妻の喋り口調が、今訳だと訛ってないはずなんだな。それだけで印象がずいぶん変わるもんなのよねぇ。
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