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2011. 11. 26  
マキャフリィ女史が亡くなられた。
「パーンの竜騎士」シリーズ。
「クリスタル・シンガー」
「歌う船」
どれもこれも大好きだった。特にクリスタル・シンガーは、アメリカのSFアート髄一の描き手、マイケル・ウェランの素晴らしすぎる仕事の表紙絵によって世界観をより拡張された逸品だと思う。


今の日本で青春を謳歌する女子達には想像もつかないことかもしれないけれど、かつて女性の地位は大変に低かった。欧米においても。
どれくらい低いかって、どんなに名作SFを書いても、女性名で発表することまかりならぬ、と圧力をかけられるほどに。


女がSF? はっ、バカ言ってんじゃないの。じゃなくて、女ってバカじゃん。バカがSFなんか書けるわけ無いだろう、創造的で知的で過激なSFというジャンルに女ごときが入ってくるなっつーこと。てな風にみんな思ってるわけでね? 女性だって知れたらそもそも売れないわけ。だからね、女って判っちゃう名前はNGね、ってことでよろしく。


とばかりに、数々の女性作家が略名で作品を発表し続けることを強いられたらしいのだ。C・L・ムーア。A・K・ル・グウィン。A・マキャフリィ。アリス・シェルドン女史に至っては、どっからどうみても男性名の「ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア」という名前で破格の傑作を発表し続けた。名前だけでなく内容も過激で硬質でシビアそのものだったばかりに誰もが男性と信じて疑わず、真相が明かされた時の衝撃はとてつもないものだったという。

そこまで女性がバカにされる社会、風当たりの強い時代に、マキャフリィは北米SF界における2大栄誉、ヒューゴー賞とネビュラ賞をパーンシリーズで受賞する。
いずれも女性としては初の快挙だった。

「ええ、私はやったのよ! やり遂げたのよ! とずっと思い続けたわ」
とインタビューに答えておられたのを覚えている。

マキャフリィの作品は、その殆どで主人公は女性だ。
それも格別に強い女性だ。意思の力と生命力が全身からみなぎり溢れるような、光り輝くキャラクター。
いかなる困難にも、不可能に見える事態にも、ひるまず、恐れず、猛烈なバイタリティで突き進む。
負けない。引かない。諦めない。泣いて助けを求めたりしない。問題は解決するべきもの。そのために全力を尽くす。目的のために手段なんか選ばない。

現代日本ならばむしろ当たり前の存在でしかない、ありふれたものでしかないこういうパーソナリティや行動原理や思想を、差別の逆風吹き荒れる時代に確信をもって書き続けたフロンティア精神と肝っ玉。マキャフリィ女史の作品とヒロインは私の憧れの的だった。女性が立ち入ることを許されなかった未踏の荒野に猛然と道を切り拓き続けてくれた偉大な先人が居てくれたからこそ、今、私は顔を上げて生きていられるのだと思う。

私がパーンを読み始めた頃、同じくマキャフリィ好きだった友人と語ったことがある。
すごく映画向けの話だと思うけど、とにかく飛竜がネックだよね。1体2体ならともかくさ、大編隊をどうやって実写にするか。無理だよねー、そうだよねー、と。

カナダではテレビドラマとして映像化もされた(日本未公開)らしいのだが、やはり竜はギミック入りの作り物だったという。それはやっぱり観るには厳しいだろうなぁ、と思っている。

だが今なら、進化したCGがある。天空を埋め尽くす竜騎士群も余裕で描写できるはず。女史の存命中にはかなわなかったが、私が生きているうちにはなんとかならないものかなぁ、と切実に思うのだった。


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Author:星 ゆう輝
人生50年、オタク歴40年弱、母親業四半世紀。老眼とボケが迅速に進行中。麗しいロボ執事をはべらせるのが老後の夢。

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