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2011. 12. 01  
「境界線上のホライゾン」を毎週熱心に観ている。

これは、かなり人を選ぶ類のアニメだと思う。なにせ難解なのだ。

特に初回、前半はかなり私にはキツかった。設定とキャラの羅列。この世界はこういうもので出来ています、こんなにアイディアが詰まってます、こんなに華やかな美少女たちがたくさん居ます、こんなに派手な戦闘能力をもってます、と。
いきなりの百花繚乱に、思わずゲロゲロゲーであった。私は設定なんか見たくもない。そんなのは「こんなに見事な牛を用意しました」と、振る舞いの食卓に生肉の固まりを並べてみせるような行為に似ている。
それに、その設定の数々、特にキャラに関する描写があまりにもありふれた、稚拙な妄想の権化に見えたのだ。現実から逃避したい中学生がノートに書き連ねてしまう「私の考えた最強にして華麗な理想の私」のような。

そしてそれは、ロールプレイングゲームで遊ぶためのアバター作りにも酷似していた。
なにせ妄想の世界で遊ぶためのキャラ、アバターであるからと、都合の良い理想ばかりを並べ立てた、美麗であったり雄渾であったり超越的であったり摩訶不思議であったりする容姿と性格と能力と境遇と、少しでも他人より秀でたいという願いから付け加えられる異様な特徴の乱舞と。
だが所詮は幼稚な妄想の産物。現実的な思索や考慮や教養などの裏付けの乏しいそれらの夢想は、「個性的でありたい」という願いとはまったくの裏腹に、どんぐりの背比べのようなありがち設定の山を築くばかりだったりするのだ。なんと皮肉なことだろうか。

ああここにも、爛熟しきった妄想世界の澱が並べ立てられるのみなのか、と絶望的な気分になった頃。
奇妙な少年が出現した。どうやら、主人公であるらしい。
タレ目。のべーっとしたトーク。人をくったような軽さ。体型は貧弱。エロに青春を掛けていることをまったく隠さない厚顔無恥。セクハラの末にぶっ飛ばされ、天空高く舞い上がり校舎の壁に叩きつけられるさま。(福山潤君、またしてもそーゆー役ですかw)

このふざけた少年・葵トーリの登場によって私の見る目が一転した。
彼がそこにいるだけで、世界の空気が変る。自由な風が吹き抜けるようなムードになる。ありふれた風景が特別なものになる。
これこそは王者のカリスマ。人心を集め、導き、動かすに足る天の器。
王者は、自身が強くある必要は無い。特別に麗しい必要も無い。大切なのは、どれほど多くの信頼を集められるか、という一点である。人を惹きつけ、協力させる力。そして取りまとめる力。
実行力は、集まってきた周囲のそれぞれが持っていれば良い事なのだ。
一見地味で、頼りなげにも見える中肉中背の少年が漂わせているカリスマのオーラにとにかく驚いた。
そして、高度な演出力こそが、そういう画面を成立させていることに遅まきながら気づく。

監督は、小野学氏。
なにも特別なことの起きない少女たちの平凡な日常を、まるで宝石のように美しい時間として描いてみせた「Aチャンネル」の監督だった。
これはなかなかにただならぬ作品になるぞ、と判断して、熱心に観るようなった。

何話かは、とにかくわけかが判らないまま進む。話も設定も複雑過ぎるのだ。
だが、わけがわからないにも関わらず、心地よく観られる。滅多にはないことだと思う。
そうこうするうちに事態が大きく動き出し、この世界の有り様や、どのような話になるのか、が大きくじわりと浮かび上がってきた。なんとも壮大で知的な物語だ。派手な戦闘もあるが、どこまでも地味で渋い交渉対決もある。
これは相当に原作の小説の内容も凄いものであろうし、それをここまで噛み砕いて観やすい映像にしてみせているスタッフの力量もかなりのものだ。

普通、ここまで原作のスケールが壮大で設定過多であると、大抵の制作陣では扱いかねて何かが崩れてしまうものだ。およそ判りやすい構成にねじ曲げてみたり、キャラの見かけに頼ってみたり、思いっきり原作を踏みにじってまったくの別物にしてしまったり、逆に原作通りにし過ぎたあまりにアニメとしての魅力を喪失してしまったり。
そうやって良質の原作をズタズタにした上にアニメとしても駄作になってしまうケースを、私は嫌になるほど見てきた。
だからこそ、今この稀有な映像化を果たした「境界線上のホライゾン」をとても貴重な愛おしいものと思う。
いつのまにかワンクールも終盤だ。次に繋がる良い結果になるよう願っている。


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人生50年、オタク歴40年弱、母親業四半世紀。老眼とボケが迅速に進行中。麗しいロボ執事をはべらせるのが老後の夢。

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