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2011. 12. 15  
さてgdgdといえばやはり「gdgd妖精s」(ぐだぐだふぇありーず)。

最初観たときは、まず口あんぐり。なにせチープなのだ。やっすいポリゴン。ほとんど切り替わらない背景。二頭身のいかにも適当なデザインの少女たちが文字通りgdgd(ぐだぐだ)とダベったり遊んだりしてるだけ。思わず「なんじゃこりゃー!」と海原雄山と化してちゃぶ台返しするところだったのだが。

「なんだろう……なんか切り捨てられない魅力がある気がする……」

なんだかんだで最後まで観てしまい、クレジットが流れ始めた所で評価をひっくり返さざるを得なかった。あまりといえばあまりにも、スタッフロールが薄いのだ。TV放映している番組とは思えないほどに、関わっている人の数が少ない。異様なくらいだった。これがどういうことかというと、費用対効果が高いのは勿論、制作現場の小回りが効く、ということを意味する。

予算が少ない、スタッフも少ない、そういう厳しい現場の中で何かを作ろうとしたら、どこかで先鋭化して狙いを絞り込むしかない。

gdgd妖精のスタッフが狙った先は、「脚本」と「表情」だったのだ。正確には、脚本というより展開というべきなのだが。確かに良く練られた周到なホンもある。だがそれだけではなく、声優の自然な反応ややりとりなどを生かした形で作画を後で付けるコーナーもある。これはとても画期的なことだ。普通、アニメの声はきちんと決まった構成と作画の「映像」が先にあって、それに合わせて声優が演技をつけている。この順序を逆にすることは、アニメの制作の常識的な流れの中ではとても困難なことだ。
が、安い代わりに素早く絵が作れるCGソフトと、小回りの効く小さな制作現場ならではの有利性が、逆転を可能にした。発想の勝利だと思う。

一見、荒っぽく大雑把なつくりの妖精たちの表情は、ビックリするほど豊かで、生彩に満ちている。大胆でくっきりしている。ポリゴンが荒いのでいかにもな漫符的変化になるのだが、それが実に良いのだ。タイミングよく的確に切り替わる表情が、この作品のなによりの魅力だ。

アニメーションというのは不思議なもので、キャラの顔を美麗に詳細に書きこめば書きこむほど、何故か冷たい印象になっていく。生彩を喪い、変化を喪い、硬質な美に特化してゆきがちだ。それは、容姿の美の本質が均等性にあるからだ。美を突き詰めていけば、どこをとっても平均的な、バランスの完璧な、数学的な幾何学的な、数値的な整然に近づいていくのだ。そこに歪みや変動や流動性が入り込む余地は無くなる。永遠を思わせるような安定。変化の乏しい確実さのようなもの、それが美の目指すところだ。当然の代償として、美は生命力を喪う。生命とは、すなわち変化のことだからだ。生き生きしている、というのはめまぐるしく変わりゆく、ということなのだ。美を追うほどに、キャラが硬質な冷たさを備えていくのは仕方のないことなのだ。

さて、人間は人間に美ばかりを求めたりするだろうか? 

人間は他人の何を好むのか、ということを考えた場合、最も必要とされるのは実は生き生きとした共感だったりする。
相手が何を考えているか、何を思うのか、何を感じているか。それが手に取るように判った気がするとき、人間は安心を覚える。ホッとする。そして安心は人間にとってもっとも重要な快楽でもある。
だから、表情豊かな人間は好かれ愛される。感情表現が明確なほど信頼される。親近感、好意、愛着。それらを醸しだすのは何を差し置いてもまず、共感なのだ。

gdgd妖精のスタッフは、この大原則が判っているのだと思う。安かろうが荒かろうが、とにかく大胆に表情を描く。共感による笑いを獲得すべく脚本構成を練る。そしてフルCGである利点を生かした、派手なカメラワークで意表も突いてくる。結果としてこのアニメ、実に愛らしい佳品となった。おそらく商業的にもそこそこの勝利を収めることになるだろう。実に周到でゲリラ的な戦略が作品の裏にはあったのだろうと思われる。そしてそういうのを、私はとてもカッコよいと思うのだった。

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Author:星 ゆう輝
人生50年、オタク歴40年弱、母親業四半世紀。老眼とボケが迅速に進行中。麗しいロボ執事をはべらせるのが老後の夢。

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