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2012. 05. 20  
大昔、九州に修学旅行に行った時のこと。バスガイドさんがこういう話をした。

九州名物のひよこまんじゅう。とっても可愛い形をしています。
さて、ひよこまんじゅうの食べ方で、その人の性格が判るそうです。
頭から食べる人は残酷です。
お尻から食べる人はエッチです。
お腹から食べる人は下品です。
さぁ皆さん、ひよこまんじゅうをどう食べますか、なかなかむつかしいですね?

hiyokoman.jpg

中学3年にしてすでに相当に偏屈だった私は即座に思ったのだった。

「ンなもん一口で丸呑みにしたらええんやんか、そんなことでいちいち思い悩むなんて馬鹿げてる、無意味だ、たかがまんじゅうやないか」

いくら見かけが愛らしいからといって、喰らって咀嚼して果ては糞便と化すものに、過剰な感情移入はすまい、とその頃思い決めたように記憶している。


ところが、どうも最近、このスタンスが揺らいできた。

最近、キャラ弁文化が定着し、同時にキャラスイーツ、キャラ料理なるものも増えてきた。

最初は、「あまり食い物で遊ぶなよなぁ」程度の感想しか無かった。
が、キャラ食文化が根付き、発展し、作る人の腕も着実に上がっていくのを見ている内に、「残酷の谷」とでも呼ぶしかないような一定のラインが自分の中に出来てきたようなのだ。


世に「不気味の谷」という言葉がある。
ロボットの外観が人間に近づけば近づくほど、ある程度の近似値を超えると一気にキモくなる、という心理現象のことである。

これとよく似た感じで、キャラ食の表現力がある臨界を超えると
「きゃ~可愛い、食べた~い」
から一気に雪崩落ちるように
「こんなもの食えるかっ! 残酷やろが!」
と思ってしまうようになってしまったのだ。

先日、もうそれがハッキリしてしまった。ネットに流れていたリラックマの料理。黄色い毛布に包まれてスヤスヤと気持ちよさそうに眠るリラックマ。毛布は薄焼き卵かなにかだろうか。見事な出来栄えだった。皿のサイズとのバランスも良い。作った方のハイセンスぶりと技巧が伺える逸品だった。

だが、出来が良すぎたばかりに、私は葛藤を抱えずにはいられない。
こんなに気持ちよさそうに眠っているリラを……。
こんなに可愛いリラを……。
その寝顔をスプーンで切り崩し、グズグズに破壊したそれを口に運び粉々に噛み砕く……。


やめてぇぇぇぇ

そんなの絶対おかしいよ! だって、きっとそれ美味しいんでしょ。それに食べ物を粗末にしちゃいけない。料理として目の前にあったなら、ちゃんと感謝して味わってゴチソウサマしなくちゃならない。

かわいそう……残酷だよ……、ゴメンよぉリラックマ……でも美味しいシクシク……やだやだ! そんな葛藤を味わいたくない!

「何いってんだアンタ。ひよこまんじゅう一気食いの決意はどうした。所詮食い物は食い物、って割り切りはどこへ行ったっていうんだい」

などと脳内叱責が鳴り響いても、なんかもうやっぱり我慢出来ない。

キャラ食には、「残酷の谷」が存在する。

キャラクターとしての造形の見事さがある一定の水準を超えると、「可愛い」は「残酷」を発生させる。
それはそれが食べ物ゆえである。


そして私はうっすらとした危惧を抱く。
食べ物を素材としてあまりに凝ったキャラ造形を作ってしまい、それを平然と食べることが出来る、それが是とされる世の中に、なにやら得体の知れない淡い違和感を抱いてしまう。
だが、けっきょく儚い違和感だ。
もしそういうキャラ食が目の前に出されて振舞われたら、私は美味しく食べるだろう。賞賛を惜しまないだろう。
そして自分の中にストレスを抱え込んだことを無意識下に抑え付けて無かったようにするだろう。
それが人の世の付き合いってものだと思うから。
そして、人間は食というものに誠実であらねばならないと思うから。


なんでこんな余計な物思いをするようになってしまったのだろう。年をとって弱ったからだろうか。
実際、出来の悪いキャラ食なら情け容赦なく笑って食べる私なのだ。タヌキのケーキだのデッサンが狂ったパンダパンだのクマドーナツだの。
どこからが「残酷の谷」なのか、その基準は自分でもハッキリしない。

そしてついさっき見つけてしまったこのニュースにウンウン唸っている。
び、微妙だ。ボーダーだ。食えるような食いたくないような。

pondelion.jpg

ううーん。

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Author:星 ゆう輝
人生50年、オタク歴40年弱、母親業四半世紀。老眼とボケが迅速に進行中。麗しいロボ執事をはべらせるのが老後の夢。

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