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2013. 01. 13  
気がつけば今年もすでに半月過ぎた。どうにも冬ウツが酷くてボーゼンとしている。
そんななか、唯一気分を上向きにしてくれたのが「まおゆう」の原作だった。

今季の新作アニメのひとつ、「まおゆう 魔王勇者」
この原作は、2ちゃんねるのスレッド「魔王『この我のものとなれ、勇者よ』勇者『断る!』」を利用した即興小説ということらしい。
wikiとしてひとまとめになっているものを数日がかりで読んだ。まさかこれほどのボリュームとは思わなかった。そもそもタイトルがタイトルだし、キャラには名前すらついてない。「勇者」「魔王」「メイド長」などとしか書かれてないのだ。てっきり、サクッと読める軽いノリの作品だとなめてかかっていた。

とんでもなかった。
蓋を開けてびっくり。確かに語り口調は軽妙だ。なにせ、地の文が無いのだ。キャラのセリフだけで延々と続くのだ。ごくたまに短い擬音がつくばかり。
なのに、そこに語られる内容は、軽妙どころではなかった。

「世界」の解説なのである。

普段、人間なんてものは、「世界がなにでできてるか」なんてことは思いもしないで生きている。
そんなことよりやるべきことはいくらでもあるし、日々の生活は大変だし、目の前の問題だけでも手に余り、やれることしかやれないし、知りたいことしか知りたくないし、理解できないややこしいものは見て見ぬふりでもしてうっちゃっておかねば、頭がおかしくなって死ぬ。そういうものなんである。
おおよその人にとって「世界」のことなど、そのほとんどがどうでもいいことであり、知らなくても考えなくても生きていけることである、と処理されてしまっている。

戦争が悪なのは知っている。
悪は滅びるべきである。
愛はなにより大事。
でもお金も大事。
人殺しはいけないこと。
人は自由であるべき。奴隷なんてダメ絶対。
悪魔? そんなものは居ないけど、ゲームとかでは敵だよね。いくらでも倒していい相手。

いろんなことを、こんな感じで「なんとなく」思いつつ、日常を私たちは生きている。
だって、そういうのが「常識」だから。


まおゆう、というお話は、しょっぱなの第一章から、そういう常識をグリっとまとめてスコーンと一発で場外ホームランにしてしまうのだった。
そして、ただちに示す。まおゆう、という物語が何を目指しているのか、そのテーマを。

「世界は実はこういうものだ。ひどいものだ。でも、そんな世界とは違う、まったく新しい世界が見たい。今まで誰も知らなかったような、誰も見たことのない、丘の向こうにある新しいものを見たいのだ」

こんなことをやられては冒頭から拍手喝采せざるを得ない。ファンタジーの器で書かれているが、この志はSFそのものだ。
常識や既成概念をひっくり返して打ち砕き、その奥にある真相に気づかせ、新奇を提案すること。私が最も愛する「センス・オブ・ワンダー」をやりますよ、という宣言だったのだ。

こりゃぁたまらん、ありがたくって涙が出ますぜぃ、と舌なめずりしながら猛然と読み始めたわけだった。
が、読んでも読んでも終わらない。長い。長い長い長い。そして面白い。
なにせ、世界を塗り替えちまおうという壮大なお話だ。簡単に終わるほうがおかしいのだからこれはもう仕方ない。
数日を夢中になって過ごした。物語は美しく収束し、申し分なく終わっていった。
深く満足。これこそが、まさにこういうものが、今の私が読みたかったもの、という感慨。

地の文無し、ネット上のまとめだったので、イラストのたぐいも皆無。
そこが逆に良かった。とてもイマジネーションが刺激された。会話しかないのに、豊かな情景が広がった。
かつて、ビデオゲームというものが描画力をほとんど持っていなかった頃、僅かなデータや動きだけで、無限に近い壮大なビジョンを想像することが出来た、あの頃の感動に似たものを味わえた。

なので、今ちょっぴり困っている。アニメとして映像化されたからだ。
映像になるからには、簡素ゆえに逆に豊かだった原作とはまったく違う表現が必要になるわけで、それを受け取る側にも、豊かな映像と表裏一体の犠牲が強いられる。想像の自由が奪われる、という犠牲である。
あるいは、自分独りで培った心の中のイメージが現実の視覚情報によって上書きされて消滅させられるという犠牲である。

しばらくは、自分だけの好き勝手なイメージで楽しんでいたい、という気持ちもある。
が、さらに困ったことに、アニメの第一話の出来が良かったのだ。面白かったのだ。続きが見てみたいのだ。
こりゃ困った葛藤なんである。
特に、最萌え激萌えキャラ、なぜ銀縁メガネをかけていないのだ! と怒鳴りたくなるほど見事な仕上がりの知性派&ドSキャラ「青年商人」に声がついて動くところを見ないわけにはいかない。CV担当は神谷浩史とな。完璧過ぎる。えっ、「軍人子弟」は鈴木達央? 美味しすぎる。嗚呼やっぱり見ないわけにはいかない。じゅるっ。

並の原作とはわけが違う。アニメのスタッフの苦労、苦心も桁違いだろうと思う。健闘と幸運を祈ります。

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Comment
他の原作より楽じゃないかと思います。
というのは、原作において広げた風呂敷をちゃんと畳んでるから。全部読むとわかる「緻密な設計図」があってそれに適した「セリフ」が選択されてるから。何より情景描写がほとんど大多数の人が思い浮かぶであろう形の「セリフ」を選んでいるから。アニメスタッフも「みんな理解した」上で制作にかかってるかと。
まとめブログから漫画版、今回のアニメ版とおっかけてますが、どれも違和感なく楽しめております。
「原作との答え合わせ」なんか考えずに頭空っぽでみるとよいかもしれません。

でも今度の鉄人28号。あれはないだろう!!ビブリアとかさ!火星のプリンセスとかさ!(答え合わせしまくり
Re: タイトルなし
svetlanaさん>

テキストが原作という意味では楽なほうなんでしょうか……純粋に、まおゆうは要素が豊富過ぎて、絵にしなければならない範囲が広すぎる。これは容易くはないとやっぱり思うんです。でもスタッフは愛と生真面目さでもって取り組んでおられる気がして好感触です。

コンテンツを長く楽しんできたきた身としては、テキストがムービーにどれほど無惨に蹂躙されるか、イヤというほど思い知ってるわけですしねぇ(プルプルワナワナ)

鉄人28号は割りと楽しみです。蓋を開けてみないとまったくわかりませんが。
原作愛と言えば、ホビットが相当すごいらしい、という噂です。観に行きたいんですがなかなかきっかけが掴めないのとお金無いのと。トホホ。
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星 ゆう輝

Author:星 ゆう輝
人生50年、オタク歴40年弱、母親業四半世紀。老眼とボケが迅速に進行中。麗しいロボ執事をはべらせるのが老後の夢。

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