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2013. 01. 26  
萩尾望都さんの待望の新刊「王妃マルゴ」を入手。
萩尾さんの作品はオリジナルがほとんどで、史実を基になさるのは珍しい。

そして「王妃マルゴ」というタイトルはかなり有名なものでもある。デュマが書いているし、実写映画にもなっている

普段、私が手にする本にほとんど興味を持たない息子が、ひと目表紙を見ただけで「それは?」と訊いてきた。どんな流行りの萌え美少女にも反応しない、むしろ拒否ばかり示す息子でも、ポカンと目を奪われてしまう絵。世代を超えたインパクトとオーラの絵。
波打つ黒髪、深い青の瞳、匂い立つ色香の美少女マルゴ。

「これはね、おうひ、と読むでしょ。王様の奥さん、という意味。ずっと昔のヨーロッパの王妃のお話なの」

と説明はしたが、実は私もそれ以上のことは知らなかったのだった。

本を開くと、まず詳細な系図が載っている。系図は苦手だ。特にヨーロッパ王家のそれなんぞ複雑怪奇が常である。
が、マルゴの場合、ざっと見るだけで綺羅星のごとく有名人の名が目立つ。あっ、母親がメディチの人? じゃ、あのフィレンツェの素敵オヤジ・ロレンツォの子孫っ?! たちまちテンションMAXのアタシ。

それはさておき、冒頭にこういう系図を載せるということは、この物語が史実に沿って描かれます、という宣言なのだろうと理解する。

読み始めはなかなか硬かった。少女マルゴの背景、周辺人物、社会状況の説明がとにかくなされねばならないからなのだろう。
だが開幕早々、マルゴの父アンリ二世が馬上試合で死去するあたりから怒涛のごとく物語が動き出し、一刻も読みやめられず夢中になって読了。

ガッチリと手堅い歴史物の構造を持ちながら、少女漫画的ロマンと女性向けマンガのエロスも詰め込んだ濃厚な作品となっている。
個人的にはこういうベタなエロスはあまり好みではないのだけれど、「王妃マルゴ」を描くにあたって、どうやらそれは欠かすことの出来ない絶対要素であるらしい。マルゴという女性がたぐいまれなる美貌と淫奔の資質でもって名を馳せた女性であったらしいからだ。

読了後、猛然とマルゴ周辺の人物たちのwiki巡りをしたくなる、歴史という複雑な物語への興味が激しくかきたてられる、一冊で数冊分も美味しい、素晴らしい作品だった。

そして判ることは、マルゴ自身は王妃であってもあまり世界史の表舞台での活躍は無かったらしいということ。
が、その分、周辺人物の派手やかさはタダ事ではない豪華絢爛。
母親のカトリーヌ・ド・メディシス、と言えばサン・バルテルミーの虐殺。
義理の姉メアリ・スチュアートと言えば、ライバルはかの名高い処女女王エリザベス。
姉の嫁ぎ先は日の沈まぬ国スペインの王、フェリペ二世。
マルゴの三人の兄は全員フランスの王位に就いている。
そして夫となるナヴァルの王子アンリはスッタモンダの末にフランスの王位も継ぎ、大アンリとまで讃えられる名君となる。
で、その大アンリの息子がルイ13世で、デュマの代表作「三銃士」で彼らが仕える王様、と。


何も知らずにこの渦中の女性がどんな存在かを思った場合。
フィクションならば、知恵と才覚と人徳でもってヨーロッパの貴顕たちの運命を取り結ぶ、愛と平和の偶像としての調停者のようなポジションを貰うところだろうと思う。

が、現実はそんな生易しくも、甘やかなものでも無かったらしい、というところがこの美貌の王妃の渋さであったような。
この先、どんな運命が転がっていくのか、萩尾さんはこの数奇な女性をどう描いて行かれるのか、実に実に楽しみだ。


最近ずっと沈静化していた歴史物語への執着が一気に戻り、今日も1日wikiとやる夫スレ満喫。萩尾作品の持つパワーはやっぱり桁が違うなぁ、と改めてしみじみ。デュマの小説も借りてこなくっちゃ。

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人生50年、オタク歴40年弱、母親業四半世紀。老眼とボケが迅速に進行中。麗しいロボ執事をはべらせるのが老後の夢。

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