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2013. 06. 06  
「進撃の巨人」のコミックス売り上げがドエライことになっているそうです。

4月からアニメの放映が始まり、原作本が飛ぶように売れ、

「2カ月で750万部の重版は、講談社史上最大の数字ではないか」

ということだそうな。

「こりゃぁ遠からず進撃ビルが建つな!」

と一瞬は思ったのですが、それよりも出版事業をネット新時代に対応させるためのインフラ開発に利潤はお使いになるのかもしれません。

本の売れないこの時代に、ただでさえ原作本は1200万部というとんでもない数字を出していたわけで、そこにアニメ放映という最大規模の広告効果が重なり、もうドエライというしかない事態であります。
そして恐ろしいことに、この勢いはしばらく続き、数字はもっと伸びるでしょう。



始めて書店で原作の1巻を手にとった時。
正確には、試し読み用の薄い冊子をめくった時。
あの衝撃は未だに鮮明で忘れられません。
とにかく、物凄いシロモノでした。なにが凄いって、とんでもなく絵がヘタだったこと。

「こんな稚拙な状態でデビューさせるなんてほぼあり得ないはず、何が起こっているのか?」

数ページほども読み進めて、『何が起こったのか』はすぐさま理解できたのですが。

そこに溢れていたのは、独立独歩の感性と、破格の意思力。
何が何でも、己の内に沸き上がってくる、人と世界と物語を描き出して形にするのだ、というがむしゃらの挑戦。
混じりっ気無しの、それは金無垢の才能の輝きでした。

これは間違いなく化ける。超絶な作品になる。その明確な可能性の前には、画力が追いつかず修行不足であることなど、何の問題にもならない。
ド素人の私ですら雷に打たれたようにそう感じ取るほどなのですから、プロの編集がどれほどのインパクトを受けたのかは計り知れません。

かくしてうら若き新人のデビュー作はたちまち世に登場し、破格の扱いで書店に置かれ、あっというまにセンセーションとなりました。

巻数を重ねるごとに、稚拙だった画力がメキメキと上がっていき、物語のテンションも上がり続け、謎は深まり、物語の勢いもとどまるところを知らない激しさ。

そして満を持しての映像化です。
このアニメ化の見事さが、世にも稀に見るクラスのハイクォリティだったわけです。

普通、人気マンガが映像化された場合、たいていは悲惨なことになります。実写であれアニメであれ、どうにも平板にぺったりと原作をなぞっただけになるか、激しく劣化するか、あるいは原型をとどめない改変がなされます。

原作を忠実に再現し、なおかつ映像としての魅力に満ちている、などという理想的なケースは滅多には成立しない、稀少例なのです。

ですが進撃の巨人は素晴らしいスタッフに恵まれたようです。
また、おそらくは予算も破格なのだろうと思います。演出、作画、美術、どれをとってもテレビアニメの枠には収まらない手間暇と力量が注がれています。



結果、今何が起きているのか。
それは、破格の浸透です。
進撃の巨人は、原作の持つパワーとアニメの迫力とが合わさって、マンガ・アニメというポップカルチャーの世界の壁をやすやすとぶち抜いて、普段そういうものに目を向けない一般の人々のところまで飛んでいき、ハートを貫いて行っているのです。

放映開始後たった二ヶ月。
ネットには次々と「進撃の巨人ごっこ」で遊ぶいろんなネタがアップされ、テレビやラジオの一線で活躍するタレントの方々が「誰にでも通じるネタ」として「立体機動」などと口走る。

アニメ、マンガ、ゲームがどれほど素晴らしい作品を生み出そうとも、それが一般の老若男女にまで浸透するまでには、かなりの時間がかかります。
長らくオタクをやってますが、これほど素早く世間に認知されていったケースを私は他に知りません。
「進撃の巨人」は、売り上げという数字的な意味でも、作品という文化的な意味でも、空前絶後のスケールのものを残すことになるでしょう。
個人的には「ポスト・エヴァンゲリオンと言うべきものがやっと出てきたなぁ」と思うのでした。

ポップカルチャーの裾野が広がり、数限りないほどのファンタジーやSF、フィクション性の強い作品が次々と世に生まれ続けています。
その膨大な作品群の中で、進撃の巨人がこれほどまでに抜きん出ているのは何故か。

理由は数多くありますが、今一つだけ挙げるとするならば

「『世界』を描こうとしているから」

だと思っています。

そしてそのために、

「好ましいものを一、描くために、その数十倍、数百倍を勉強し吸収し消化し、己の手足の如く使いこなせるための武器となるまで身につけなければならない、ということを原作者が骨身で知っているから」

だと思っています。

自分にとって都合の良いもの。
都合の良い設定、都合の良いお話に都合のよい人物ばかり描こうとするクリエイターには決して辿りつけない境地を、原作者の諫山創さんはおそらくは生まれながらにして持っておられる。まだ大変にお若いのに驚くべきことです。

ですが、正真正銘の才能というものは、実はしばしばそういうものなのだろうとも思うのでした。

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コミックは一気に読ませる力が凄いとは思いましたが、最新刊のラストはちょっと…
Re: タイトルなし
アルラさん>

およ。ごめんなさい、まだ読んでないんです。んー、何があったのやら。
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プロフィール

星 ゆう輝

Author:星 ゆう輝
人生50年、オタク歴40年弱、母親業四半世紀。老眼とボケが迅速に進行中。麗しいロボ執事をはべらせるのが老後の夢。

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