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2008. 07. 13  
 夢中になって「罪と罰」読んでいたわけですよ。カラマーゾフの兄弟に比べて話の進行が早く、より読みやすい。
 テーマもあまり難解でもない。カラ兄も大変に現代的なテーマを抱えていたけれども、罪と罰もまったくそれに劣らない。これもまた、現代にこそ広く知られるべき物語だと思う。

 ロジオン(ロージャ)・ロマーヌイチ・ラスコーリニコフ、通常ラスコーリニコフとして知られる主人公の性格や心理状態というものが徹底的かつ執拗に描写されているのだが、これがまぁもう、呆れ返るほどの重度の中二病および自意識肥大のナルシストの夜郎自大野郎、でも実は根っから凡庸で善良な一市民でしかなかったので、自我と本質の激しいギャップに悶絶した挙句、引き篭もりのニートと化し、生活に追い詰められて人殺しをしてしまい、幸か不幸かそれがすぐに露見しなかったばっかりに、自負の意識と無意識の罪悪感にズタズタに翻弄されていく日々が延々と続くさま。
 ロージャ君も生き地獄だが、下手すると読んでいる側も生き地獄に堕ちかねない、デンジャーな書である。

 私が読んだ版は、古い古い岩波文庫で、訳者は中村白葉氏。とにかく言い回しが古い。古すぎて理解できなかったり、まったく読めない漢字頻出。それもそのはず初版はなんと昭和3年! トランプが「カルタ」と訳されてる辺りは伊達じゃない! しかしそんな難読性も、物語の面白さと迫力の前には木っ端微塵であった。ところで文中に「シルレルかね」「まったく君はシルレル的だな」と何度か出てくるシルレルというのは、やっぱりシラーのことなんだろうか? そのうち読まにゃ。

 ドストエフスキーがこの小説を世に出したのは、日本で言うなら幕末期、薩長同盟が成立したあたりらしい。たちまち世界中に広まるセンセーションとなり、現在にいたるまで映画化、舞台化は数知れず。日本ではマンガ化も多い。
 ロージャ君の存在、その過激な思想は、国境を越えた衝撃だったのだろう。
 しかし私にとっての衝撃は、この存在がもはや現代日本においては衝撃でもなんでもなくなっているではないか! という事実だった。
 あまりにありふれた、どこにでも居る、平凡な存在。それでいて、いつ爆発するか判らない危険な存在。
 よしんば爆発しなかったとしても、その代償として身近と社会に毒を振り撒き続ける存在。
 自分は特別な存在なのだから特別に扱え、と要求し続ける存在。
 要求が通らぬ世界を呪詛する存在。

 心当たりがありませんかね? あなたの周囲に。あるいはあなたの中に。
 普遍と化した無数のロージャ。物語のロージャには最終的に救済があったけれども、現代のロージャたちを一体誰が救うのか?

「罪と罰」、今だからこそ多くの人に読んで欲しいとは思うけれど、さらに欲しいのはその先にあるもの。この物語に書かれた救いの公式のようなものは、もはや現代日本には通用しがたいのだから、世相にふさわしい新しい公式が必要なのだと強く感じる。探求の必要を広めるために、可能性を増やすために、さぁ皆さん読みましょう。清新な芽吹きに期待したい。

 古代より延々と使われて続けてきたシステム、「宗教」に回帰するより他に無し、なんてオチは未だ御免こうむりますぞ!
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タイトル
 夏休みになって、ラスコーリニコフのようになってきました。
 この前、HMVで映画の罪罰を6000円ほどで買いました。主演はゲオルギー・タラトルキン。彼の容貌が異常にあっていて、びっくりしました。ああー怖かった。やたらと長かったので、分けて見ました。私が満足したのは、言語がロシア語だったこと。最近、ロシア語を勉強しようかと、ひそかに思っています。
 犯罪学、この作品でときたま出てきます。ポルフィーリーとの縁談の場面。ポルフィーリーは、うまいところをついてくると母が言っていました。確かに。
 この作品で、ドストがどれだけ犯罪について考えていたかが分かります。関心しました。
 ある、女流作家さんが、罪と罰を読んで、これを越える作品を書こうと思ったそうです。でも、私は思いません。無理だって思いました・・・・。
 この作品、”ひどく暑い”という設定だったので、この夏休み、またじっくりと鑑賞したいです(体が寒くなっていいかも)。
奏文12歳さん>

署名から察するにお若い方なのだろうと思います。
罪と罰がきっかけになってロシア語を勉強してみるというのは素晴らしい思いつきですね。是非がんばってみて欲しいです。
私くらい老けてしまうと、
「なにー!? コーランってのはアラビア語以外で読んじゃいけない? 読みたきゃアラビア語を勉強しろと? でけるかーっ(ノ ゜Д゜)ノ ==== ┻━━┻」
と、あっさりこうなってしまいます。
人間老いやすく、学なりがたし。
見聞きすべきモノは無数にあり、これからも産まれてきます。もしもあなたがいつか「あ~ぁ、退屈だなぁ」と感じる時があったとしたら、このことを思い出していただけると幸いです。
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星 ゆう輝

Author:星 ゆう輝
人生50年、オタク歴40年弱、母親業四半世紀。老眼とボケが迅速に進行中。麗しいロボ執事をはべらせるのが老後の夢。

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