1を訊かれりゃ30しゃべるオタク主婦45歳、書きたい放題にも程がある日記。
Author:星ゆう輝
人生45年、オタク歴30余年、母親業18年。
老眼とボケが迅速に進行中。
一人息子が卒業し、のほほんに磨きがかかってきました。
NANAの映画について私があまりに毒を吐き続けるので、夫の人が普段通勤に持ち歩くDVDプレイヤーと、何本かのDVDを詰めたファイルを部屋に置いて行ってくれた。「口直ししなさいよ」
てなわけで、チョイスは「ハウルの動く城」。
素晴らしかった。素直に感動。
ここ最近の宮崎駿氏の作品は、どうにもイライラさせられる事ばかり多く、「ハウル」も私はまったく期待もしてなかったし、あえて避けて通って来た、という経緯があったのだが。
なんという見事さだろう。いつもながら美しい、宮崎氏独特の素晴らしい構図の映像。
逆に言えば、どれも「どこかで観てきた様な絵」ばかりであり、そこには新鮮さも目新しさも無い、新奇な冒険心なんてものは見当たらないのだ。
だが、そこがいい。だからこそ、私は素晴らしい、と思うのだ。
「もののけ姫」以来、氏の作品には、私は無理を感じていた。
気負い。意欲。義務感。自己顕示。押し付けがましいメッセージ。
特に、「乙女というものを判ってもいないくせに勝手な理想の主張を押し付けるんじゃぁねぇゃゴルァ!!」という憤激みたいなものを常に覚えることになり、それが氏の作品を見ることを辛いものにしていた最大の要素だった。
今回、ハウルに登場するヒロインは「呪いでいきなり90歳にされてしまった娘」。
予定調和として、すったもんだの末に呪いは解けて、美少女に戻ったヒロインと見目麗しい青年がラブラブハッピーエンドを迎えるなんてのは1+1が2だってくらい当たり前なのだろうけど、さぁその経過は一体どうなのか?
この経過の内容がとにかく良かった。見かけ90歳でも中身は少女のヒロインは・・・・・・今までの宮崎ヒロインとは若干違う意外性があったし。
「おーっと、一皮も二皮も剥けましたね?」という印象。
で、このヒロインを演じた倍賞千恵子さんの演技が、もう超絶の域だった。20歳くらいから90歳までの間をウロウロ微妙に移り変わる様を、これほどの説得力で見せることが出来るというのは、圧倒的と言うしかない。
私の尊敬と憧れやまぬ美神、美輪明弘様も、ある意味スゴイ汚れ役を完璧にこなしておられたし、少年そのままでありながら舌を巻くような表現力の子役の演技も凄かった(この子、妖怪大戦争の子役ですか、なるほど〜ん)。
しかし私が何よりリアル絶叫してしまうほどぶっちらばって驚愕したのは「ハウル=キムタク」なのだった!
なんだこの巧さは! この自然さは! うぬぬぬ、「唄が歌えてない歌手」の代表としてしか見なしていなかったSMAPのメンバーの中で、「まぁこいつの踊りは見どころあるかなぁ」程度に評価していただけだったので、心底驚くことになった。
気取っていない。力みが無い。柔らかく自然であり、「演じている」という気合やケレン味なんてものを感じさせない。
これは凄いことなのだ。声優としての実績の無いタレントは滅多にこんな境地でアニメのアテレコなど出来るものでは無いからだ。アニメであるという意識を持たずにダラーっと演じて気の抜けたビールみたいな場違い振りを発揮したり、逆に意識しすぎて浮きまくったりするのが常である。
そのひそやかでノーブルな演技に、「キムタクよ・・・・・・恐ろしいほど大物なのかもしれないな」と感じ入ってしまったことよ。
この、「気取らず、力まず、力を振り回して押しつけることの無い自然体」が、ハウルという作品すべてに貫かれているように感じた。私が何より感動したのは多分そこだ。
本当の価値ある実力の持ち主が発揮できる境地。熟練、老練、巧みの結晶。
それをもって描かれたのは「老い」の賛歌でもある気がした。
若いということの痛み。大人になれないことの哀しみ、悲劇。
なにかしらを餓え求め、憧れ続けて執着し、害を撒き散らす人間の営み。
さまざまを通り過ぎ、あれこれが行き過ぎ、いつの間にか肉体は衰え、醜くなってゆく、人生の運命。
だが、老いて衰弱し、醜くなること、それは悪いことなのか?
そうではない。老いれば確かに不便が増える。喪うものも多くなる。
しかし、だからこそ得るモノがある。
生きることは変わり続ける事、その先には必ず老いが待っている。だが、そこにあるのが喪失だけとは限らない。喪い続け、苦しみ続けたからこそ、ようやっと手に入る何か。
老いへの賛歌はすなわち、命と生きることそのものへのそれ、なのだ。
ラストに流れる主題歌がしみじみと滲みた。いい歌だ、是非レパートリーにしたいと思う。
本当に、心が底から洗われる心地。最高だよ!
タダ一つおぶりん的突っ込みをするならば
「私は美しかったことなんか無いわ!」
おひおひソフィーちゃんよ、どのツラ下げてそれを言う? その一言は君より劣る容姿の乙女全部を敵に回すセリフであるぞ。つくづく、ソフィーちゃんがああいう地味ながら一応十人並みな顔じゃなくて、もっと救いようの無い不細工少女だったら感動は当社比300%増しではあったかもしれない、とは思ったのだった、ウム。
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