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2009. 12. 23  


デビュー40周年 萩尾望都原画展。
混雑を避けて、昨日の午前中に行ってきた。

「世界で一番の漫画家さんは誰だと思いますか?」
こう訊かれたら、私は迷わず「萩尾望都さん」と答える。
世界にどれほど他に漫画家が数多く居るか、そのほとんどをもはや私が知らないことは判っている。
だとしても、私のこの確信は揺らぐことはない。
どれだけ売り上げようが、どれだけ多く映像化されようが、どれだけ多くの人の言の葉に登ろうが、そんな数字なんぞは私にとって無意味だ。
マンガとして。作品として。作家としてどうなのか。これだけが総てであり、その意味合いにおいて、萩尾さんを超える漫画家が出現した、という記憶なんぞ今に至るまで皆無だと断言する。
で、この確信についてぐじゃぐじゃと解説するつもりなんぞ、無い。
「世界には、どうしても判らせられないことというのがあって、ただ、それを知っているか知らないかだけなのだ」
うろ覚えだが、アーサー・C・クラーク「都市と星」より。


会場はやや小さめであったが、展示は素晴らしいものだった。マンガ原稿原画、カラーイラスト原画のみならず、人形作家さんによるキャラ人形の展示や、ずっと萩尾作品を舞台化し続けている劇団の衣装や小道具などの紹介展示もあった。おそらくは「小鳥の巣」時代のギムナジウム制服を着せられたエドガーとアランの人形の顔だちの素晴らしさなんぞ、見ているだけで魂を吸い取られそうな美麗さと深さ。キャラに対する筆舌に尽くしがたい愛に溢れていたのだった。

どの作品の原稿もある程度の長さを考慮して連続的に並べられており、「ああ、これもこれも」「そうそう、このころの絵はこんなんで……」と感慨深く読み耽る時間。
神懸かりの完成度を誇るたった16ページの短編「半神」は、丸ごと閲覧が可能であり、展示空間の統一イメージと静謐さ、原画の迫力もあいまって激しい感動体験となってしまい、何度も冊子で読み返してきた作品であったにもかかわらず、涙をこらえるのに必死にならねばならなかった。

いったい、どれほどの破格のロマンを、ドラマを、世界を、この人の作品は紡ぎ続けてきたことだろう。SF、ファンタジー、日常文芸、ラブコメ、深い深い精神哲学にいたるまで。どれほどの繊細な筆致で描き続けて来たことだろう。私が一番好きな作品「銀の三角」のハードカバー版の表紙原画の、人間の手で描いたとは信じられないような細い細い「白い」描線の重ね描きで表される煙るような銀髪の存在など、原画を肉眼で見るまで判らずじまいだったろう。生きている間に目の当たりに出来たことに心から感謝するのだった。

まー、一番好きな萩尾作品とか言い出すと、実は「銀の三角」と「スター・レッド」が壮絶なつばぜり合いを始めちゃいますけどね、私の場合。

さぁさぁ、まだ萩尾望都作品を知らぬ人々よ。
日本人と産まれて生きて、これを知らぬまま死んでゆくなど、なんともったないことだろう。
「もっともっと面白い人生が欲しかった」などという後悔を抱えて死んでゆく痛恨を減らし得る希有な存在。数少ないそういう珠玉の一つがまさに萩尾作品である。何でも良いので、手にとって読んでみられることをお薦めする。

けっきょく、嗚呼、これも読み返そう、あれも読み返そう、幸い、捨て捨て病持ちの私でも、萩尾さんの本はずっと抱え持っているので、ガチで再読始めたら何ヶ月もかかってしまいそうだけど、でも読み返そう! そう決意するための展示でもあった気がする。

物販コーナーも大変豊富で、トーマの心臓の金属しおり1500円など、メチャクチャ欲しかったのだが、年末の財布は大変に淋しかったりもしたので、泣く泣く最新刊の「スフィンクス」のみ購入。ううむ、「バルバラ異界」あたりからこっち頻出の、年配女性の恋愛心理というテーマがここにも相当色濃く在る。やっぱ、灰になるまで、ですかね。

*************

でもって、まぁその、「誰がこまどり殺したの?」のイラスト原画の前で、どうしようもなく「クックロビン音頭byパタリロ」が再生されてしまう自分自身の因業さにはいささかゲンナリ。こんな素晴らしい空間でそんな茶々だのオチだの要らねーんだよ、私の脳!ヽ(`Д´)ノ





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Comment
>「銀の三角」のハードカバー版の表紙原画
ああ、これはみたいなぁ。
大阪にこないかなー。
>、トーマの心臓の金属しおり1500円
来たら買うかもw
ほんとうに、わたしの中学・高校生時代は
萩尾さんの漫画とともにあったんだということを
再確認させられました。
いったい何枚、エドガーの絵を真似して
描いたことか。
『トーマの心臓』の読者アンケートの成績が
悪くて、打ち切りになるかもという
お話で、一所懸命、読者アンケートも書きました。
あそこの場にいたら、10代のころの自分の
イメージがわーっと押し寄せてきてしまい、
収拾がつかなくなりそうでした。

でも、わたしはいちばん好きなのは
ほんとは
『この娘うります!』だったりして……。
(もちろん、『銀の三角』も『スター・レッド』も
愛してますが)
>「クックロビン音頭byパタリロ」が再生されてしまう自分自身の因業さにはいささかゲンナリ。
あなたの夫はキングレコード版とキャニオンレコード版の両方が再生されまする。
sveさん>
大阪にも来るといいですね。本当に隅から隅まで素晴らしかったです。特に印刷には出かねるカラーのニュアンス。銀の三角の銀髪の表現なんぞ、本当にどうやって描いていたのか判らないほど。白の顔料を細いペンで、だと思うのですが、それにしても細い。
なおトーマの心臓のしおりは売り切れたらしいです。再販あるといいなぁ。私も欲しかったぁ。

MIKAさん>
懐かしいですよね。青春も人生も共にしてきた。まさにそんな感じではないかと思います。萩尾さんのあの圧倒的なイメージ力と描画力が、私たちの青春をひといろに染め上げた。比肩しうる存在が他に居るとは私には思えないのですよ。単品だけなら、例えば「NANA」が近いインパクトを持ってますが、いかんせん作品の絶対量が少なく、オールラウンダーである萩尾さんの才能に迫れるとは考えていません。「この娘売ります!」のような日常物も、SFファンタジーと等価で描き分ける才能。分散特化なクリエイターが溢れてる現代の漫画家には、追いつけない境地をお持ちだと思います。

夫の人>
>あなたの夫はキングレコード版とキャニオンレコード版の両方が再生されまする。

あー、はいはい、わかってますwわかってますw
あと、夫婦揃った平穏な老後をお望みなら、そろそろ「はぎょろもろ」とかいうふざけた呼称を口にするのは控えてもらえませんかね(`_´)
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プロフィール

星 ゆう輝

Author:星 ゆう輝
人生50年、オタク歴40年弱、母親業四半世紀。老眼とボケが迅速に進行中。麗しいロボ執事をはべらせるのが老後の夢。

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