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2010. 04. 28  
ティム・バートン「アリス・イン・ワンダーランド」を観た。隅から隅まで徹底的なバートン世界であり、大変に満足。異様で、毒々しく、それでいてこよなく美しく、そして哀しく切ない。バートンカラーと呼ぶべき独特の空気に満ちている。こうでなくてはね! 
そして、バートン監督がどれほどルイス・キャロルの原典を愛しているかもひしひしと伝わって来たのだった。通常と違う、特別な感性、心の目を持って産まれたばかりに、世に沿うことのできない孤独が生み出す夢。似た心と視点を持った者どうし、遙かな時を超えて共有できる夢、願い、望み。原典のそれを大胆に換骨奪胎し、オタク中年の妄想をまるっと映画にしてみせた大胆さと技量の見事さは、バートンの監督としての円熟をこの上なく示すものだろう。
そして、「ハリウッド映画監督」としてのやるべきこともちゃーんとやっておりますよ、と言わんばかりの、意外なまでにありふれたクライマックスだけが、そこだけ色が抜け落ちたかのように生彩を欠いたことまで含めて、「ティム、大人になったんですねぇ」と、別の感慨を呼んだのだった。

細かい魅力を語り始めればキリも無い作品ではある。残忍で醜悪なのに、ある種の正直と純粋を持っていた赤の女王が奇妙に愛らしかったことや、可憐で清楚でまさに正義の女王としてそこに居る白の女王が潜めている身の毛もよだつような毒々しさと欺瞞をも余さず描く奥深さや、そして何よりも、バートン監督の化身として存在感を示した帽子屋の振る舞いのすべて。
珍妙で、奇矯で、落ち着きなく動き喋り騒ぎ立てるが、危機に際しては身を挺しても少女を護り、一指触れることも無い完璧な紳士。
これぞまさに、本田透君が提唱するところの「喪男」の中の喪男であることよ、その切ない清廉には胸締めつけられる思いなのだった。

「どうしたら良いんだ、俺の頭は賑やかすぎる」
「そうね、貴男は完璧にイカレてるわ。でも、良い事を教えてあげる。偉大な人は、みんなそうなの」


こう、言って欲しかったんですね判ります。理想の幼女から理想の乙女へと成長した存在に。
でも、そういう作品を作って世に出せるということそのものが、すでに自分自身で自分にそう言ってやった、ということでもあるから、バートン監督自身は、満足済みということ。表現者とは、なんと幸せな存在なのだろうか。


なお、作中唯一のイケメン属性だったハートのジャックの呼称が、観賞後どうにも思い出せなくて夫の人に尋ねたら

「ああ、ラブリー眼帯?」

と返答が。ラブリー眼帯がどういうモノか、についてはこちらを参照

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人生50年、オタク歴40年弱、母親業四半世紀。老眼とボケが迅速に進行中。麗しいロボ執事をはべらせるのが老後の夢。

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