--. --. --  
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
2010. 05. 28  
マキアヴェッリ全集で、まずは君主論を読む。

想像の斜め上を行く明瞭さ。
そして、なるほどこれが、500年以上もの間、「マキャベリズム」「マキャベリスト」と悪し様に言われ続け、冷酷思想の代表のようにたとえられ続けて来たゆえんかと納得せざるをえないほどの、強烈な性悪説。

ただ、これは実際、書いてる本人は性悪説ともなんとも思っていなかったかもしれない。当然の、当たり前の、単にそれだけでしかない、ありのままの、人間という存在そのものの「身も蓋も無さ」を率直に捉えているだけだ、と思っていたのかも知れない。

だがそれでも、先に彼の伝記を読んで、この君主論がどういう境遇で書かれたものだったか、を念頭に置いて読んだばかりに、私にはどうしても不遇な人生へのルサンチマンが潜んでいるように思えてしまったのだった。

あと、どうにもこうにも、このニッコロ・マキアヴェッリの優秀さが走り過ぎて、かえって机上の空論のように読めてしまうところがあるのも、彼にとっての不利だったのかもしれない。
「目を開けて産まれてきた男」マキアヴェッリ。
見えすぎる目、判りすぎる頭脳がしばしばやらかしてしまう、予断。それは、
「アンタ、実際にそこに居たわけじゃないでしょう?」
「アンタ、実際に自分がそれをやる(やった)わけじゃないでしょう?」
という突っ込まれる状態になりがちなのだ。

実際のところ、マキアヴェッリは、フィレンツェの書記官として外交交渉を山のように請けおい、欧州中の君主と直接対談をさんざんこなしてきた実績はちゃんとあるし、その経験を踏まえた上で史書も大量に読みこなし、史実と照らし合わせた上で、確信的にこれを書いたのだろうけど。
それでもなおかつぬぐい去ることのできない空論感。なぜなのだろう?

思うに、ニッコロさん、アナタね、無茶を言いすぎなんです。
無茶っていうか、どんだけ高等なものを人に要求してるんですか。
ちょー大胆にざっくりと要約させてもらいますけど、つまりアナタ、君主(政治の代表)に
「善人やめろ。でも、周囲の人間には、自分を善人だと信じ込ませろ」
って伝えたいわけですよね。
つまりそれって、名優レベルの役者スキルか、さもなくば狂気と紙一重の天才であれ、と要求してるに等しい。
で、たいていの人間はそんな素養なんぞ持っちゃいないし、持とうと思って持てるモノではないし、素養の無い人間にそんな理想をどんだけ語っても馬の耳に念仏てなもんでサッパリ理解なんぞしちゃくれないし。
で、もし、素養に恵まれている人間相手にだとしたら、「ンな事ァ言われなくても判っとる!」で済んじゃう話なんじゃないすかね。


などと脳内呼びかけしてみる。
なにせニッコロさん、脳内対話トモダチ、仲間、だから!( ゜∀゜)人(゜∀゜ )ナカーマ

とにもかくにも、明晰、鋭利、怜悧が、痛烈なまでに愉しい論だった。
実用的か、という点においてはいささか首をひねらないわけにはいかないのだが(なんせもう時代が違いすぎる)、それでも「人間」というものそのものに興味を持つ人ならば必読と言っても良いくらいの名著だと思う。とにかく小気味が良いのだ。


混迷を深める現代で、日本を安らげるためのリーダーの登場を待望する身としては、指針となるべき導きを見出したかったりもしたのだが、つまるところ何よりも必要なのは、「獅子のごとき行動」「狐のごとき狡猾」よりもなお先決として、すべての人間に大嘘をつきつづけてなお平然堂々としていられる「胆力」なのではなかろうか、と思った次第。

関連記事
NEXT Entry
05/28のツイートまとめ
NEW Topics
初めてなのに懐かしい  Fate stay night
さらば上石神井
過ぎ行く2013
現実はドラマティックを狙わない
新生ライフ
アイウエオの歌
文は人なり
曲線美
風立ちぬ
ぜろせん!
Comment
Trackback
Comment form
 管理者にだけ表示を許可する
プロフィール

星 ゆう輝

Author:星 ゆう輝
人生50年、オタク歴40年弱、母親業四半世紀。老眼とボケが迅速に進行中。麗しいロボ執事をはべらせるのが老後の夢。

カレンダー
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
月別アーカイブ
ブログ内検索

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。