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2010. 07. 31  
ジブリ新作「借りぐらしのアリエッティ」を息子と鑑賞。

まとまりのよい、これといった欠点の少ない、こじんまりとした小品。
ストーリーは、教訓的でサラッと感動できる善い話だと感じた。

だがしかし、どうにも大味で微妙だ。終盤から終了後にかけて、猛烈に「崖の上のポニョ」と「河童のクゥと夏休み」が観たくなってしかたなくなってしまった。
紛れもなくジブリブランドの、安定した画面、美しさ、ダイナミックな動き。
いずれも高い水準を保っており、意識の表面上では、何の文句も出ないはずだ、と自分に言い聞かせながら観ていた気がする。
だが、表層意識をツンツン突く自意識が出てきてしまう事自体、私自身がまるっぽ感動はできていない証拠であったりする。
私はナニがそんなに物足りなかったのだろう? どうも巧く言葉にできないのだが、しばしば脳裏に「???」が浮かんでしまった辺りが、一番問題だったのかもしれない。

床下で生きる小さな人たち。その暮らしをじっくり描くことが前半のキモなのだが、ここでさんざんに首をひねってしまったのだ。
異常で、あり得ない設定。思いがけないワンダーに満ちているはずの、その小さな世界。
その描き方は細密で、いかにもこうだろう、と思わせるリアリティが一見、あるように見える。
だがしかし。
詰め、が甘いのだ。
「ねぇねぇそのガラス瓶、どうやって作ったの?」
「ねぇねぇ、そのバレッタ代わりのクリップ、どんなサイズ? 爪先ですら扱えない小ささのはずだよね? それも借りものなの?」
「ねぇねぇ、そもそも、糸とか布とかどうしてるの? 人間から借りたものなら、ゴワゴワぶとぶとのはずだよねぇ? そんな可愛い服になるはずないよね?」
「釘を打ち込んで階段や通路にしてるけど、そもそも、それはどうやって打ち込んだの? ハンマー自作? 足場はどうやって組むワケ?」

フィクションつーかファンタジーなんだから、細けぇこたぁいいんだよ! そんな細々したことまでいちいち気にして突っ込んでたら早く老けるよバーサン? てな脳内嘲笑も聞こえてくるわけなのだが、気になるものは仕方がない。
要するに、説得力、というべきものが画面に不足しているのだ。
せめて、たった1シーンでもいいから、
「彼らは魔法のような不思議さでもって、すべての借り物を都合の良いサイズに縮小してしまうのだ」
という説明でもあればまだ良かったのに。
そうでなければ、圧倒的なまでの演出力で疑問を抱かせる余地もなく引っぱってくれるか。

優れた演出、というものは、数え切れないほどの細かい小さな膨大な気遣いの積み重ねによって成り立つものなのだなぁ、とあらためて思い知ったことであったよ。


キャラの描き方は、昨今のアニメらしく、美点が多く魅力的だった。特に、声の演技(樹木希林さん)の素晴らしさも含めて、家政婦の描き方が実に良かった。美少女、美少年、そういったものは本質的に魅力的なのだから、ステキに描けていてむしろ当然。そうではないものを如何に描くかが力量の問われる点であろうと思う。生々しくかつ象徴的な家政婦の存在はまさにこの作品のキーであったろうと思う。

反面、これだけはどうしても言わずにはいられない。
アリエッティの母親、キモすぎる。
見た目がおそらく人間で言うなら50歳過ぎ、すなわち私と同じかあるいは少し上くらいの、オバチャンからオバーチャンへ移行途中、という感じの女性なわけで、シワ深い口元、衰えてしなびかけた体、足腰の曲がり具合などなど、老いゆく女性のリアリティがこの上なく発揮されているキャラ描写であるにもかかわらず。
なぜ、声の演技もトーンも、まるっきり若い女性のそれなのか?
あまりと言えばあんまりな違和感、そぐわなさ、乖離感に、最後の最後まで身の毛のよだつ気持ち悪さだった。
演じておられるのは巧者で知られる大竹しのぶさん。
いったい、なぜ、かくも不自然なことになったのだろう? 謎である。
もしかして、昨今流行りのアンチエイジングな、顔面修正しまくりの、いつまでたっても青春乙女気分な中高年女性を揶揄する目的の演技演出なのだろうか? そりゃぁ流石に深読みのし過ぎだろ、と思わないでもないのだが。

だがまぁこんなことは些細なこと。
基本は、ガール・ミーツ・ボーイズの、爽やかな話。夏の一日を過ごすにちょうど良い感じの。

しかしなんで「アリエッティ」なんて名前なんだろうな。親の祖父の代からこうしてここで生きてきたって言うからには、日本語に囲まれて100年以上って事じゃないの? もとは海外から来た妖精一族かなんか?……とっとっと、またツッコミ癖が出ちまったい。自重っ。


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Comment
「窃盗容疑と住居不法侵入及び部分占拠のアリエッティ」w
Re: タイトルなし
まんもさん>
借り、と称してもなにも返済はしないようなので、まさに人間的欺瞞、詭弁と申せましょう。
でも実際は、人間の文明そのものが地球という惑星からの強奪消費ぐらしである、という事実のメタファーなのかもですね。いかにもジブリチックではございませんか。
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プロフィール

星 ゆう輝

Author:星 ゆう輝
人生50年、オタク歴40年弱、母親業四半世紀。老眼とボケが迅速に進行中。麗しいロボ執事をはべらせるのが老後の夢。

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