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2010. 11. 03  
「映画ハートキャッチプリキュア! 花の都でファッションショー……ですか?」

人気TVアニメの劇場版というのは、たいていハードな環境で作られることが多いので、感心できない出来になることの方が多い。TVエピソードにちょいと毛が生えた程度の尺でまとめるくらいが関の山とか。
だから正直、なめていた。

だがしかし!
結果は、家族3人全員がほぼ腰を抜かして呆けてしまうほどのハイクォリティだったのだった。
(おじゃ魔女)どれみちゃん絶対至上主義を掲げて
「たたかいのあるアニメはキライなんだ」
とプリキュアを拒んでいた息子が
「これからネット動画でプリキュアを見なくちゃならないんだ」
と息巻くし。

「こんな骨太な良作を見ることになるとは思ってなかったよ」
と、やはりハトプリ以前のプリキュアはノータッチだった夫の人も感嘆しきり。

そして、TVCMのみの僅か2,3カットに過ぎない登場シーンだけで「サラマンダー男爵」にガッチリハートキャッチされてしまっていたアタクシは。
サラマンダーとルーガルー・オリヴィエとの出逢いのシーンからもはや既にガチ泣きの有り様。
その後もあっちで泣かされこっちで泣かされラストも泣かされ、最後はスッキリ良い気分になって劇場を後に出来るという、ほぼ最高点に近い映画鑑賞となったのだった。


さして期待もせずに観てみたら、もの凄い良アニメであったのでビックリ、という点では、クレヨンしんちゃん劇場版の衝撃に匹敵するかも知れない。

とにかくこのプリキュア映画、演出がむやみやたらと手堅いのだ。
そして、お話に詰め込まれた設定とエピソードの多彩さがあざといまでに豪華。
まずもってプリキュアであるから、多くの美少女。
花の都・パリの観光案内的背景。
どこかヴァンパイア貴族を思わせるスタイルの、スラリと優美な美形悪役と美少年の、邪気眼チックな厨二病炸裂設定。
さらに追加でヤオイの根元と呼べるテーマ、「みなしごがみなしごと共に在る」状況。
華やかでパワフルなバトルアクション。
破壊と浄化。
「パワーが足りない! プリキュアがピンチだ! みんなの力を貸して! さぁ入場の時に配ったそのライトをかざしてーっ!」とまぁ、老年特撮オタクがありありと昭和を懐古してしまう「突撃ヒューマン」仕掛けそのままの、観客参加イベント。

なんとまぁ贅沢な盛りだくさんであったことよ。

だが、良い要素を詰め込みさえすれば優れた作品になるのか? と言えば、それはまったく、そうではない。
小説、マンガ、映画、ゲーム、演劇、様々なジャンルで多くの「物語」に触れてきたが、最近つくづく思うのは、感動を呼び起こすために大事なこと、というのは実は

「何を語るか」
よりも
「如何に語るか」
なのだなぁ、ということなのだ。

実際、物語、お話、というものは、さしてバリエーションが豊富なわけではないのだ。
誰の分析だったか、パターンとして数十種類も存在しない、という説がある。基本のテンプレート、あるいは原型のようなものが古来よりあって、応用が増えていくだけなのだ、という。

プリキュア達と、サラマンダー達との関わり合いは、さして目新しいところの無い、ありがちで平易な展開ではあったのだ。

ではなぜ、この作品のいったいどういう点が、観ている私たちの心を揺さぶり、感動に至らしめたのか。
一言で言えば「丁寧」この一語に尽きる。

その人物、はどういう者なのか。何を思い、どう振る舞い、どう反応するのか。
その背景、はどういう場なのか。どんな空と大地と建物で出来ているのか。
その戦い、はどういう動きなのか。なぜぶつかりあい、どんな力で、どう勝敗を決するのか。

こういったモロモロの事すべてに細かい注意を払い、観察と洞察でもって描き表すモノを決定しているのか否や。
絵空事でしかない架空を描くのであればなおさら、こういうことが重要なのだ。
演出が優れている、というのは、こういうことがちゃんとこなされているかどうかということなのだ、と私は思っている。
ここをオロソカにしてしまっては到底、絵空事でしかない架空に、人の心を惹きつける魅力を持たせることはかなわない。ファンタジックであるほど、演出のハードルは上がるのである。

ハトプリ映画の演出は、この高度なハードルを軽々とクリアする剛力を示していた。見事である。もちろん、堅実かつ流れの良い脚本もあればこそだが。いやぁ良いホンだった。サラマンダー達の過去をあえて細々セリフで語らせない、という選択のセンスには痺れた。

監督は、松本理恵さん、と言う人。記憶には無い方だ。Wikiにも記事が無い。新進気鋭?
脚本は、栗山緑さん、となっているが、Wikiるとそのそうそうたる実績は大山のごとし。ベテラン中のベテラン。
ブラヴォー。素晴らしい。エクセレントでした。


最後に。
オリヴィエ担当の大谷育江さんと、サラマンダー担当の藤原啓治氏の巧さには舌を巻いた。最後テロップが出るまで気づかなかった不覚の私。「巧いナー、巧いナー、でもってなんだかとても新鮮ダナー」……って、どちらももうベテランじゃん。だが、真の声巧者というものは、「それが誰の声だったかを最後まで観客に意識させない者」という信念も私にはある。流石!

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Author:星 ゆう輝
人生50年、オタク歴40年弱、母親業四半世紀。老眼とボケが迅速に進行中。麗しいロボ執事をはべらせるのが老後の夢。

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