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2011. 01. 05  
発熱したりしたので書くのが遅れたが、正月のDVD鑑賞第二弾「ヒックとドラゴン」が本当に素晴らしかった件。
知人という知人全てが口を極めて褒めちぎっていただけのことはある。最新のCG技術を極限まで活かしつつ、どこか懐かしさを呼び起こす、堅実でオーソドックスな絵作り。
派手に見せかけるために無闇矢鱈と凝った構図とカット切り替えの乱発でもって、実際には何がどう成っているのかよく判らなくなるという、本末転倒を起こしているCG動画というのは昨今頻繁に見かけるし、私はそういう見せ方にずっと強い不満を抱えていた。そんな私が膝を打って大喜びできる、映像の基本をしっかり守った上でダイナミズムで感動させるという、地味ながら難易度の高い理想を見事に実現してくれていた傑作だった。

ここで私が言うところの「映像の基本」とは、セリフやナレーションなどの説明に一切頼ることなく、映像のみで「何がどうなっているのか」を表現しきって見せる、ということである。これは意外に守られることの少ない基本でもあるのだ。言葉で説明してしまうほうが何かと楽で安易なので、ついそちらに流れがちなのが大抵の映像というものなんである。結果的に「基本なのに高度」な表現になってしまいがちだ。そして、希少になりがちなのだ。
ヒックとドラゴンは生真面目なまでに、この基本に忠実だった。感涙モノである。

やや不満があるとしたら、展開がまるでゲームのように、実際性の薄い、お約束やフラグ立ての進行だったこと。ちょっと変わり種でコミュニティから疎外されている少年の成長物語、というまさに王道のテーマでありながら、まるでRPGのレベル上げのように安易に事が進行していく不自然には若干の苦々しさを覚えた。
次に、実に心配りの細かい綿密で綺麗でリアルなCG表現をしていながら、妙に粗雑な描写が散見されたこと。シナリオの記述とそぐわない風景や建物や小物の取り扱い。厳しい自然の村だと言いながら無限の貯蔵を誇るかのような食事風景とか、頻繁にブッ壊される設定の筈なのにやたら風格のある石柱だのなんだのとか。少年たちの訓練キャンプの夕食に、一人あたり鶏の丸焼きが一羽分支給されて、しかもそれが一口も齧られる前に「さぁ食事も済んだしもう寝るぞ」なんてセリフが平然と配置されていたり。この鶏の丸焼きがまた実に丁寧にCGが作りこまれた、テラテラとロースト表面が香ばしそうな、極上の焼き上がり風情だったりする。レストラン産じゃぁあるまいし、焚き火にかざして焼いてその滑らかさは無かろうよ、と。
そして思った。丁寧に細かく作りこめば作り込むほど、リアルを目指せば目指すほど、かえって細かい粗や不自然が目立つようになってしまうのだ、という事を。
描写、というものは、凝れば良い、というものでは決して無い、ということを。やり過ぎはかえって作品の調和を損ねてしまうのだ、と悟らされた一本でもあった。

だが、辛口はこのくらい。オーソドックスとダイナミズムは、保守と革新の対立のようなもので、大抵は対立する。だが当作は、この相反を見事なハーモニーに収めてみせた。一少年の鬱屈した日常から、発見と挑戦と冒険と、大活劇と勝利に至る王道そのものの道筋を、丁寧に、誰にも分かりやすい形で、心に深く納得出来る形で見せる作品。言葉にしてしまうとあまりに簡単に記せてしまうこの事が、実は成立確率の大変に低い難事業であることを、私はイヤになるほど知っている。ヒックとドラゴンは、稀に見る大成功作である。目白押しの話題作に押されて興業が振るわなかったのは残念だが(ゴメンヨォ我が家も観に行かなかったよ)、真の意味で大人も子供も楽しめる傑作映画の一つとして刻まれるべきだろう。


ドラゴンに乗って澄んだ夜空を自由奔放に駆け巡る出色のシーンは、オールドのオタクの私に「わんぱく王子の大蛇退治」のフチコマデートシーンや、アラジンの絨毯飛翔のシーンなどを思い起こさせ、しかもその全てを凌駕する最高の美しさだと胸をいっぱいにさせてもらった、世にもありがたい出来だった。眼福そのもの。

本来ならば3Dで観るべきであろうし、それでなくてもせめて大画面で観るべき一本。だが「じゃぁレンタルもやめておくか」なんて選択肢ほど勿体無いものも無い。どんな形だろうと、とにかく観ましょう是非観ましょう。とりあえずまた連休が来るわけなので、皆様さぁさぁ最寄りのDVDショップもしくはレンタルへ、レッツGOGO!

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Re: Re: タイトルなし
フチコマじゃなくてアマノハヤコマ、というご指摘ががが

ひええええ! 天斑馬(あまのふちこま)だと思ってたのに! 
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch/0/0ss/100509000000/

wiki見たら確かにアニメの方はアマノハヤコマ! 思い返せば、ああ、あの馬真っ白だった、ブチ無いわ! http://www.toei-anim.co.jp/lineup/movie/movie_wanpaku/

この恥はあえて本文修正せずにここに晒しておこうと思います。
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星 ゆう輝

Author:星 ゆう輝
人生50年、オタク歴40年弱、母親業四半世紀。老眼とボケが迅速に進行中。麗しいロボ執事をはべらせるのが老後の夢。

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