--. --. --  
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
2011. 01. 18  
シャフトの新作「魔法少女まどか☆マギカ」が素晴らしい。

第1話を観てとにかく度肝を抜かれた。特に後半。あっと目を疑う表現の数々。
「ま、ま、まるでファンタスティックプラネットーーー!」

ファンタスティックプラネット(wiki)。この珍奇なアニメーション映画を私が観たのはもうはるかな昔、1985年ごろだったと思う。渋谷の小さな映画館での単館上映。セル画アニメとは根本から異なる手法で作られた、気持ち悪くも奇妙に美しい映像でもって描かれるSFストーリー。まるで悪夢の再現のような異様さは、今まで持っていた「アニメ」というものに対する意識を根底からひっくり返すに十分なものだった。

商業作品としての娯楽性を追求する普通のアニメ作品から遠くかけ離れた、アートとしてのアニメーション表現。こういう世界がアニメにはあるのだと知った時の衝撃。だが当時の私にはその異様さは心地良いものでは無かったことはよく覚えている。3歳児に酸味と臭みたっぷりの発酵食品を食べさせたようなもので、本質を美味と味わい、消化して取り込むことも出来なかったのだろうと思う。
時は流れ、21世紀になり、CGの出現によってアニメの手法が大きく変わり、ついにTVアニメという商業ベース作品にもこれほどのアーティスティック表現が盛り込めるようになったのか、と思うと感慨深いなんてものではない。3Dテレビの出現なんぞよりよっぽど確かに未来に生きている気がする。

とは言え、私なんぞより遥かにもっと古今東西のアニメに詳しい夫の人に言わせると
「おもいっきり進化したモンティ・パイソン(テリー・ギリアムパート)」だそうで。



ま、まぁそうだよねぇorz


作画上の野心的壮絶さについてはこれ以上は直接観ていただくとして、2話を観て思ったことを。
魔法少女、と銘打ち、それっぽい衣装をまとったあどけない少女たちの活躍を描こうとしている構造がまずあるのだが、作画も演出もまずもって平常のそれでない。異様そのものなのである。そして少女たちが巻き込まれようとしている「魔法によるバトル」の設定がこれまた、尋常でない。

「願いを一つ、どんなものでもかなえてあげる。そのかわり、命をかけて闘ってね」

古来よりよくあるネタ、「悪魔との契約」ネタ、「願いが叶う代わりに云々」なわけだが、ここで意外な反応を私は見ることになった。

命と引き換えにしてまでかなえたい願いなんて、平和な私たちには無いよね、と少女たちは逡巡するのである。

なるほど、なぜかくもあどけない少女でなければならないのか、「魔法少女」でなければならないのかが、ここで示唆されているのかな、と思うのだった。

少し大人になってしまった少女ならどうだろう。命と引換えに得たいものを、恋を知った少女ならもうふんだんに持ってしまっている。
そうして、願いの成就を何かと引き換えに得ようとしたもの、得てしまったもの、このどちらももはや魔法少女などというものではなくなる。それは単に「魔女」なのである。

もし、この持ちかけを「少年」に行えばどうなるだろう。まかり間違って中二病真っ盛りの少年に持ちかけたらどうなるだろう。
そりゃぁとんでもないことになる。世界最強になって王になるだの神になるだの世界征服だの全ての人間を奴隷にするだの女は全部オレの物だの、あるいはごくシンプルに
「俺も死ぬから世界も滅べ」
とか言い出しかねないのである。こんな危険な輩と交渉のテーブルにつけるかってんだ、と私ならば判断するところである。
それはさておき。
つまり、まどか☆マギカは、従来の魔法少女作品の逆説なのである。裏プリキュア、みたいなものなのだと思う。魔法を使う少女を描くのではなく、少女であるからこその魔法を描こうとしているのではないか。

それはすなわち、少女とはなにか、魔法とはなにか、魔女とはなにか、という本質を問うことであり、果ては「命と引き換えにするほどの願いとはどうあるべきか」ということを、つまりは人生の本質を問うことにも繋がっているのだろう。


ここで私が思い出すのは、フレドリック・ブラウンのある短編小説だ。
残念ながら、タイトルが思い出せない。なので、収録図書を紹介することが出来ない。だいたいこういった話だ。

*****************************

世をしろしめす悪魔が居た。悪魔はある不安を抱えていた。
もしこの地獄に人間がやってきて、自分の魂と引き換えに「ある願い」を口にしたとしたら……。
悪魔はその全てを、地獄の全てを、世界と人間に及ぼしてきた悪の力を全てを喪わねばならない。滅ばねなならない。
だがまさか。
そう、まさか、たかが人間ごときに、絶対に、その願いをすることなどできようはずが無い。
だから、我が力は、この世界は、安泰に我が物であり続ける。人間に出来る願いではない。何事も起きるはずは無いのだ。
だがそこに、一人の人間がやって来た。
そして願ってしまうのである。悪魔にとって究極の、最期の願いを。

*****************************

今に至るも、悪魔と人間の対決を描いた中では最高無比と信じてやまない作品なのである。
まどか☆マギカはこの境地に迫ってくれるだろうか。
多大な期待を持って見守りたいと思うのだった。


関連記事
NEXT Entry
モードゥナ
NEW Topics
初めてなのに懐かしい  Fate stay night
さらば上石神井
過ぎ行く2013
現実はドラマティックを狙わない
新生ライフ
アイウエオの歌
文は人なり
曲線美
風立ちぬ
ぜろせん!
Comment
男児版は、
10年前に小林靖子がやっている。
Re: 男児版は、
せちやん>

りゅ
りゅ
龍騎のことかーーーーーーー!(未見)
Trackback
Comment form
 管理者にだけ表示を許可する
プロフィール

星 ゆう輝

Author:星 ゆう輝
人生50年、オタク歴40年弱、母親業四半世紀。老眼とボケが迅速に進行中。麗しいロボ執事をはべらせるのが老後の夢。

カレンダー
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
月別アーカイブ
ブログ内検索

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。