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2011. 09. 16  
息子がポツリとつぶやいた。
「アーサー王が3DCGで蘇るでしょうか」

「アーサー王って、何か知ってるのかな?」と訊いてみる。
息子の顔がぱぁっと明るくなり、大きくゆっくりと手を広げながら言った。
「とても偉大な王になる……剣を抜いたばっかりに。仲間たちがおおぜいいるんだ」

はてさて。

*********

昔々、ブリテンはとても荒れていました。
あっちこっちで戦争ばかり。人々は食べるものも無く、毎夜のように泥棒におびえ、辛く苦しんでいました。
みんなを助けようと、立ち上がった若者がいました。名はアーサー。ブリテンの王になる、と予言された運命の子でした。
わずかな仲間とともにアーサーは戦いました。北から来る敵、西から来る敵、海の向こうから来る敵、次から次へと倒しながら、仲間を増やして行きました。
ブリテンはやっと少しだけ平和になりました。
でも、安心はできません。
とてもとても大きくて強い、恐ろしい敵が海の向こう、はるかな大陸にはいるのです。
いつ、そこから恐ろしい軍勢がやってくるかわからないのでした。
「ブリテンの平和を守るため、大陸の敵を滅ぼさなければならない」
そう決心したアーサーと仲間たちは海を渡って、長い旅の果て、真に恐ろしい大きな敵もやっつけました。

ブリテンに本当の平和がおとずれました。
アーサーは美しい姫と結婚し、ブリテンの偉大な王になり、みんなと幸せに暮らしましたとさ。めでたし、めでたし。

*************

だいたい、こんな流れっすか。


却下


つまらん。くだらん。おもろない。なんじゃこれ。どんだけありふれてんだよ。ベタ過ぎて骨格どころか土台にもならんわ。個性の欠片もありゃせんわ。
いくらウチの息子様が永遠幼児と言っても、いくらなんでもこれじゃ話にならないことくらい判るはず。

そう。これじゃぁ文字通り「話」じゃないのだ。正確には、「物語」じゃないのだ。

さて。
物語、とはなんだろうか……?



ではそもそものアーサーの誕生から。

*************

昔々。ブリテンにはたくさんの国があった。国の数だけ、王様がいた。そして王妃様もいた。
でもって、ある美しい王妃様に、隣の国の王様が惚れちゃってさぁ。どうしてもその美女王妃と一発ハメたいわけよ。そこになにやら怪しい術士がやってきて、こう言ったんだ。
「私の術でこう、ちょちょいのパッパでその夢叶えてあげまんがな。思う存分ハメなはれ。で、その時のナニのアレで、子供が出来ますわな。その子をですな、まぁ報酬ちゅうたらなんやけど、私に譲って欲しいわけ。大事に育てますよってに安心しなはれ」
ナニをどう見てもクソやばい取り引きっつーか、言語道断の非人道的やり口なわけだったが、そこは恋狂いの恐ろしさ、王様は何が何でも隣国王妃とヤリたい、ヤラないわけにはいかないってんで、無理やりに隣国と戦争を始めてしまう。で、隣国王を戦場におびき出しておいて、自分は術士の術でピロリロリン♪ へーんしん! 隣国王そっくりに化けておいて、戦場もほっぽり出し、一目散に隣国王妃の居城へ走る。王妃はびっくり。まぁ貴方どうなさったの、いくさではなかったのですか、えっ、すぐに終わった? まぁ、アタクシとどうしてもその、イタしたくてすぐにお戻りに?……あぁん♪

こうして哀れ隣国の王妃はよこしまな術にたぶらかされて心ならずも不倫の一夜。さらに哀れはそうとも知らずに戦い続けて戦場で殺されたその夫。
このようにして運命の子、アーサーの生命は紡がれ、月満ちて産み落とされ、約定どおりに術士に預けられ、母や姉妹達とも引き離されて行方知れずになるのであった……



……却下だーーーーーーーーっ!


どーすんだよ、初っ端からこんな不埒な話、ウチの息子様に語れるか!
でも、確かに個性的なんだよなぁ。ドラマチックだわな。これぞサーガのオープニングって感じそのもの。
だからといってこれはどうにも子供向けの話にはならんでしょー!





まぁアーサー王伝説ってのは、一事が万事こんな有様で、明朗にして感動的な偉大なヒーローの話にするには問題が多すぎなのだ。


ああでもない、こうでもない、と落とし所を探るうちに、一種の諦めというか、開き直りというか、達観してしまった。
例えば、とあるロボットアニメの機体をプラモで作ろうとして、買ってきて組んでみてもどうも気に入らない。理想の機体じゃない。しょうがないからあっちこっち盛ったり削ったりして改造してみる。まだしっくりこない。もういっそ一から自分で作ってしまえ! ってんでフルスクラッチに挑戦する……そんなモデラーの気持ちが判ってしまった。

息子向けにアーサー王伝説を語るなら、もう隅から隅まで、一から十まで自分で全部創るしかない。素材はあるし、だいたいのイメージもあるけれど、既存のモデルのパーツはいっさい使えない。粘土をこねるところから始めて、彩色まで全部やり直しになる。
そしてそれは、そもそも物語ということがいまだによく判らない、生み出すことが出来ない私には、あまりに手に余る行為だ。



いっそのこと、「サウス・パーク」のトレイ・パーカーがあの絵でやってくんないかな。息子もファンだし。モンティ・パイソンのホーリーグレイルに並ぶ名作になり得る、と思うんだけど。

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Author:星 ゆう輝
人生50年、オタク歴40年弱、母親業四半世紀。老眼とボケが迅速に進行中。麗しいロボ執事をはべらせるのが老後の夢。

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